認知症の夫が靴下を脱がない…爪切りに悩んだ妻の声に応えた訪問フットケア
認知症が進み、靴下を脱ぐことさえ嫌がるようになった夫。爪が伸びているのはわかっているけれど、どうしていいかわからない——そんな悩みを抱える70代の奥様から、訪問フットケアあしよしへご連絡をいただきました。
「誰の前でも靴下を脱がない夫でも大丈夫でしょうか?」と不安げに尋ねられた奥様。今回は、そんなご夫婦のケースをご紹介します。
認知症の進行とともに、足の爪切りが難しくなった日常
「夫が靴下を脱いでくれなくなってしまって…」。
ご相談くださったのは、70代の奥様でした。
ご主人は最近、認知症の症状が進行し、日常のケアにも戸惑うことが増えたそうです。
とくに爪が伸びてきても、靴下を脱がず、触られるのも嫌がるように。
理学療法士さんからも「一度爪を切ってもらえるところに相談してください」と言われたものの、どこへ行けばよいかわからず、ケアマネージャーさんからは「外科を受診しては?」というあいまいな返答…。
「本当に外科で切ってもらえるの?」という不安のなか、奥様はご自身でネット検索し、
訪問フットケアあしよしのホームページを見つけてくださいました。
「拒否されたらどうしよう…」という不安に寄り添って

(奥さまより)
「夫が本当に靴下を脱いでくれるのか心配で…」
「訪問に来てくれる方がどんな人なのかもわからないし…」
お電話では、不安を口にされました。

「ご本人が強く拒否された場合はキャンセル料はいただきません」
「できる限り不安を与えないように声をかけ、痛みのない方法でケアをします」
私はこのようにご説明をいたしました。
訪問当日の様子:ご主人の反応と変化
ご主人は、穏やかな表情で迎えてくださいました。
会話は「はい」「大丈夫です」などの簡単な言葉でのやりとりでしたが、ご本人なりにコミュニケーションを取ろうとされているのが伝わってきました。

(ご主人)
「はい」「大丈夫です」「いえいえ」
(靴下をさわるが、脱ごうとせず)

こちらに座っていただけますか。こうやって靴下を脱ぎましょう
(私も床に座り靴下を脱ぎました)
「こちらに座っていただけますか」と椅子に座っていただくようにお願いすると、ご主人は遠慮がちに床に腰をかけてくれました。本来、椅子に座っていただき、足台に足を乗せていただくのですが、説明の意味がわからなかったようで、ご主人は床に腰をおろしました。
座っても、靴下を触るような動作はありましたが、脱げず。
私が「靴下をこんなふうに脱ぎますね」と実演すると、それを見て同じように脱いでくださいました
爪ケアと足の保湿まで、丁寧に対応
まずは足用の専用ニッパーで、厚く伸びた爪を丁寧にカット。
その後、足浴で温め、グラインダーで爪の厚みや足裏のタコをやさしく削りました。
仕上げには、保湿クリームを使って、乾燥しやすい足をケア。
施術中、ご主人は終始落ち着いて過ごされ、私が「そうそう、いいですね」とお声がけすると、小さくうなずきながら反応してくださいました。
ケアを終えて:奥様の安心の笑顔
ケアを終えたあと、奥様からは「本当に来てもらってよかった。あんなに自然に靴下を脱いだのは久しぶりです」と、安堵の表情でお話しくださいました。
次回も訪問のご希望をいただき、今後は定期的なケアにつなげていく予定です。
認知症の方のケアに寄り添う訪問フットケア
認知症の方は、「初めて会う人」「身体に触れられること」に敏感になりがちです。
訪問フットケアあしよしでは、そうしたご本人の不安や拒否感にも配慮しながら、
ご家族と一緒に足元の健康を支えています。
「爪が切れないけど、どうしたらいいのかわからない」
「家では靴下を脱いでくれない」
そんなお悩みがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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最後に私の紹介をします。
私はこれまで長年、総合病院のフットケア外来で、糖尿病の患者さんを中心に足のケアに携わってきました。
しかし、病院の外来では「糖尿病がない人」「爪が切れないけれど受診できない人」「ネイルサロンに行けない人」のケアができない現実がありました。
「もっと多くの方に、安心して足のケアを受けてもらいたい」
そんな思いからフットケアスクールで学び直し、開業届を提出して個人事業として訪問フットケアを始めました。
現在は
- 有料老人ホームにてフットケア担当(会社員として月8日勤務)
- 月10件以上の訪問フットケア(個人事業)
- 総合病院の外来看護師(週1回)
- 糖尿病クリニック勤務
として、それぞれの現場で実践を積んでいます。
足の爪やタコ、角質、乾燥など、ちょっとしたお悩みからでも構いません。
「病院に行くほどではないけど気になる」「どこに相談していいかわからない」そんなときは、どうぞお気軽にご相談ください。
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