糖尿病治療中の方、糖尿病の可能性のある方に知ってほしい足の病気のこと
糖尿病と足の症状
糖尿病と診断されて治療をしている方や糖尿病にはなっていないけど、血糖値が高いと言われた方は、足を守るために、足に起こる症状を知っておきましょう。
- 足にできた傷が治らない
【なぜ傷が治らないのか】
①血流障害がある
血糖値が高いと血流が悪くなります。原因としては動脈硬化の進行:により血管がもろく硬くなります。また、血流が悪くなることにより傷を治すために必要な酸素や栄養素が十分に供給されなくなります。
②糖尿病性神経障害により痛みを感じにくくなる
傷に気づきにくくなります。適切な処置が遅れ、傷口の悪化や感染のリスクが高まります。
③免疫機能の低下
高血糖状態の継続は免疫機能を低下させ、感染症のリスクを高めます。
傷口の治癒を遅らせ、炎症反応を促進します。 - 足が乾燥する
【なぜ乾燥するのか】
①自律神経障害により汗の量の調整ができない
汗の量を調整する自律神経の障害が起きると、汗がかきにくくなります
もともと足の裏には脂線がないため、かいた汗が蒸発しやすく水分を保ちにくい場所です
乾燥しないように足の裏が汗をかきますが、自律神経障害があると汗をかかなくなることでk南宋します。
②血糖値が高いことによる脱水
血管の中の糖が高いと、水分が多く取り込まれ尿として排泄されるため脱水傾向になります
【乾燥するとなにが悪いのか】
乾燥することによって、皮膚のバリア機能の低下が起こります。
乾燥した皮膚は感染しやすい状態となります。
- 足がしびれる
【なぜ足がしびれるのか】
①高血糖により神経に糖の代謝物が蓄積され、神経細胞が障害されます。また、血流の悪化により神経への血流が減少し、神経機能に影響を与えます。
【しびれの特徴】
手袋靴下型: 両手両足の関節から指先にかけてしびれを感じる典型的なパターンです。
足袋型: 病気の初期段階では、足の関節から足の指にかけてしびれや軽い痛みを感じることがあります。 - 水虫
【なぜ水虫になるのか】
水虫は「白癬菌」という病原菌によって感染した状態です。
糖尿病患者さんは、免疫力が低下していること、乾燥していることにより病原菌がつきやすいです。乾燥した足は、皮膚のバリア機能が低下し、白癬菌が角質層に侵入後、増殖します。
また、足や足のゆびの間に感染したものは「足白癬」、爪に感染したものは「爪白癬」といいいます。
【なぜ水虫になると悪いのか】
増殖した白癬菌は、足に感染すると足の裏が白くて固く、皮膚が厚くなります。更に、白癬菌に感染した状態を放置していると、蜂窩織炎になり、悪化すると入院治療が必要になる場合もあります。 - 足がつる
【なぜ足がつるのか】
①糖尿病患者さんは高血糖状態が続くことにより、糖尿病性末梢神経障害が生じます。
末梢神経障害により、足の筋肉をコントロールする運動神経が影響を受けます。
これにより、筋肉の動きが不安定になり、突然のけいれんや足のつりが起こりやすくなります。
②感覚神経の障害: 痛みや触覚を感じる感覚神経が障害されると、足の位置や状態を正確に感じ取ることが難しくなります。これにより、不自然な姿勢や動きが増え、足がつる可能性が高まります。
③血流障害: 糖尿病は血管にも影響を与え、足への血流が悪くなります。血流が悪くなると、筋肉に十分な酸素や栄養が行き渡らず、筋肉のけいれんや足のつりが起こりやすくなります。
④自律神経の障害: 自律神経系も影響を受けるため、体温調節や発汗機能が低下します。これにより、筋肉の状態が不安定になり、つりやすくなる可能性があります。
⑤電解質バランスの乱れ: 糖尿病による代謝異常や自律神経障害は、体内の電解質バランスを崩す可能性があります。特にカリウムやマグネシウムの不足は、筋肉のけいれんを引き起こしやすくなります。 - その他
足の骨格の変形:タコやウオノメができる
感覚の低下 :やけどや靴擦れを起こしやすい
足の症状を悪化させないために
糖尿病患者さんの「足」の症状が出る原因は、高血糖状態が長く続くことによって、主に3つの原因で起こります。
- 脱水
- 血流障害
- 感覚の障害
- 免疫力の低下
日常生活で自分でできる予防のポイント
糖尿病患者さんはもちろん、糖尿病と診断されていない方も、「足」の症状がある場合はそれらの症状が悪化しないためにも血糖値の状態を良くすることが大切です。
また、知らないうちに神経障害が進行してしまい、感覚が鈍くなることがあるため、以下3つのケアを
しましょう
足を見ること
足を触ること
足の清潔を保つこと
足の健康を守るための基本的な保湿ケア
乾燥している足を保護するためにも足の保湿ケアをしましょう。
保湿のために塗るものは、かかりつけ医の受診時に伝えると、保湿効果のある薬剤を処方してくれることもありますが、受診のたびに言いにくい、などがあれば市販のものでも構いません
おすすめ保湿ケア商品
医師が処方できる保湿剤
- ヒルドイドソフト軟膏・ローション: ヘパリン類似物質を含み、保湿効果が高く、皮膚バリア機能の回復を促進します。
- ビーソフテンローション・クリーム: 尿素を含み、角質軟化作用と保湿効果があります。
- パスタロンソフト軟膏: 白色ワセリンをベースに、尿素とグリセリンを配合し、強い保湿効果があります。
- ウレパールクリーム・ローション: 尿素を10%含有し、角質軟化と保湿効果が期待できます。
ドラッグストアで購入できる1000円前後の保湿剤
- セラミド入り尿素クリーム (ハダラボ、ニベア等): セラミドと尿素の相乗効果で高い保湿力があります。
- ヘパリン類似物質配合クリーム (ヒルマイルド等): 医療用のヒルドイドと同様の成分で、保湿効果が高いです。
- ワセリン (白色ワセリン等): シンプルですが、強力な保湿効果があります。
- 尿素配合クリーム (ケラチナミンコーワ等): 角質軟化作用と保湿効果があります。
- ヘパリン類似物質配合ローション (アットノン等): さっぱりとした使用感で、保湿効果が高いです。
これらの保湿剤を使用する際は、足をよく洗い、水分を拭き取った後に塗布することが重要です。また、個人の皮膚状態に合わせて選択することが大切で、使用中に異常を感じた場合は医師に相談することをおすすめします。
その他のオススメ商品
キュレル
- セラミド機能成分: ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミドを「セラミド機能カプセル」として配合しています。これは角層まで速やかに潤いを届け、保持する働きがあります。
- ユーカリエキス: 潤い成分として配合されており、外部刺激による肌荒れを防ぎます。
- アラントイン: 消炎剤として配合されており、肌荒れを防ぐ効果があります。
- グリセリン、BG: 保湿成分として配合されています。
- ベタイン: 保湿成分で、肌を柔らかくする効果があります。
ミノン
- アミノ酸: 肌の保湿力を高める成分として配合されています。
- ヒアルロン酸: 高い保湿力を持つ成分です。
- セラミド: 肌のバリア機能を強化する成分です。
- グリセリン: 保湿成分として配合されています。
- スクワラン: 皮脂に近い成分で、肌になじみやすい特徴があります。
両ブランドとも、敏感肌や乾燥肌に配慮した成分を使用しており、刺激の少ない製品設計になっています。また、無香料・無着色・アルコールフリー(エチルアルコール無添加)などの特徴も共通しています。個人の肌質や好みに合わせて選択することが重要です。
持田製薬のコラージュDメディパワーシリーズ
- 3大保湿因子の配合:
セラミド、天然保湿因子(NMF)、皮脂の働きを持つ成分をバランスよく配合しています。これにより肌のバリア機能をサポートします。 - 低刺激性:
無香料、無色素で、防腐剤(パラベン)不使用です。敏感肌の方でも使いやすい処方になっています。 - 幅広い使用感:
べとつかずさらっとした使用感で、顔にも体にも使えます。 - 医薬部外品:
保湿ジェルは医薬部外品として承認されており、乾燥による肌あれを改善する効果が期待できます。 - 高い保湿力:
多くのユーザーレビューで、乾燥肌やアトピー肌に効果があったという声が見られます。 - 使いやすさ:
ジェルタイプなので伸びが良く、使いやすいという評価が多いです。
ただし、個人の肌質や好みによって合う合わないがあるため、サンプルなどで試してみることをおすすめします。また、アレルギー反応などの心配がある場合は、使用前に医師や薬剤師に相談するのが良いでしょう。
私が使用している保湿ケア コラージュD
訪問足ケアサービス「あしよし」としてお客さまに使用しているものでは、コラージュDやニベア、ペディ用品を使用しています。
今回はコラージュDの使用感をお伝えします。
フットケアスクールでは、保湿ケアをする順番を習いました。
順番としては、保水(液状のミスト)→油分(クリーム)を使い、水分を浸透させたあとにカバーするクリームをつけることを推奨されました。
コラージュDは、ジェル状になっており、ミストとクリームの間のような使用感です。のびもいいし、ベタつかない。
高齢者ケアにはオススメです
靴選び
靴選びは、足の健康を守るためにとても重要です。足に合わない靴を履くと、靴ずれや巻き爪、足の変形、さらには歩き方の乱れや体のバランスの崩れにつながることがあります。特に糖尿病の方は、足の血流や感覚が低下しやすく、軽い傷でも大きなトラブルにつながることがあるため、慎重な靴選びが必要です。
靴を選ぶときは、足の形やサイズにしっかり合うものを選び、窮屈すぎないもの、足に優しくフィットするものを基準にしましょう。例えば、指が自由に動くスペースがあること、足の甲をしっかり支えること、かかとがしっかり固定されることが大切です。自分に合った靴を選ぶことで、足のトラブルを防ぎ、長く健康な歩行を保つことができます。
日常生活での運動や通勤でも、自分に合った靴を選ぶことを心がけ、足の健康を守りましょう
靴選びのポイント
- 足の形に合った靴を選ぶ:
- つま先から踵までの長さだけでなく、足幅や足の甲の高さも考慮する。
- つま先に1センチ程度の余裕があるものを選ぶ。
- 素材と構造:
- 革や内張りが柔らかく、靴の内部に硬い縫い目がないものを選ぶ。
- クッション性が良く、靴底が安定しているものを選ぶ。
- 購入のタイミング:
- 足が最も大きくなる午後や夕方に試着・購入する。
- 靴のタイプ:
- ハイヒールなど、一カ所に過剰に体重がかかるものは避ける。
- 筋力低下や足趾切断がある場合は、足首までしっかり固定できるブーツタイプを選ぶ。
- 通気性:
- 通気性の良い素材(綿やウールなど)を選ぶ。
- 調節機能:
- 紐やマジックテープ付きの靴を選び、足にフィットするよう調節する。
- 新しい靴の慣らし方:
- 最初から長時間履かず、少しずつ慣らしていく。
- 日常のケア:
- 毎日履き替えて清潔に保つ。
- 履く前に靴の中に異物がないか確認する。
靴を購入するときに足の診断をしてくれるメーカー
靴を選ぶ際には、専門家による足の診断を受けることを強くおすすめします。
足の形やサイズ、アーチの高さ、歩き方には個人差があり、適切な靴を選ぶためには自分の足に関する正しい情報が必要です。
特に、足のトラブルを抱えている方や糖尿病の方は、足の血流や感覚が低下していることがあるため、足に合った靴選びがさらに重要になります。
靴屋さんや専門店での足の測定や診断サービスを利用することで、普段気づかない足の問題を発見できる場合もあります。
正しい靴を選ぶことで、足の痛みやトラブルを未然に防ぎ、健康的な足を保つことができます。ぜひ、靴を購入する際には一度足の診断を受けてみましょう。
足の測定や診断をしてくれるメーカー
ニューバランス
- サービス名: 3Dスキャン
- 内容:
- 360度から足を計測する3Dスキャナーを使用
- 約1分で計測完了
- 足の長さ、幅、甲の高さ、土踏まずの高さなどを測定
- 計測データを元に、スタッフが最適なシューズを提案
- データはメールで送付可能
- 特徴: 全国のニューバランスオフィシャルストアとファクトリーストアの一部で利用可能1
アシックス
- サービス名: FOOT ID
- 内容:
- 3D足形計測器で足のサイズと形状を測定
- 足圧分布測定で歩き方や重心移動を分析
- 動作分析カメラで走り方をチェック
- 特徴: 総合的な足と走行フォームの分析が可能
ミズノ
- サービス名: ミズノ ランニングアナライズ
- 内容:
- 足型計測
- 走行フォーム分析
- 専門スタッフによるアドバイス
- 特徴: ランニングに特化した分析とアドバイスを提供
足道楽
- サービス名: 3D足型測定
- 内容:
- 3Dスキャナーで足を計測
- 足の長さ、幅、甲の高さなどを測定
- オーダーメイドインソールの作成に活用
- 特徴: 測定データを基にカスタムメイドのインソールを提供
これらのサービスは、それぞれの特徴を活かして顧客の足に合った最適な靴やインソールを提案しています。
ニューバランスの3Dスキャンは短時間で詳細な足の計測が可能で、アシックスのFOOT IDは総合的な分析を提供、ミズノはランニングに特化したサービス、足道楽はカスタムインソールの作成に特化しています。
自分の足に合った靴選びがわからなければ、足の診断を受けて靴を選んでみることもおすすめします。
私が体験してきた「アシックスウォーキング大宮」の3D足形計測
私は、さいたま市の糖尿病内科クリニックで働きながら、訪問のフットケアの仕事をしています。
私が働くクリニックは「レイクタウン内科大宮駅前院」というところで、糖尿病患者さんの足のチェックを行っており、振動覚、モノフィラメント、アキレス腱反射をしながら、足の変形、タコ、ウオノメ、巻き爪、肥厚爪などのケアについてのアドバイスをしています。
足チェックをして感じるのは、足にあった靴選びをしていない、腰痛、膝痛があって運動ができない人が多いということ。
そこで、大宮駅の近くにあるアシックスウォーキングで3D足形計測を体験してきました
〜計測の流れ〜
土曜日の午後に来店しました。比較的、店内は空いていて、店員さんが丁寧に対応していただきました。足の形、靴選びに悩みがあることを伝えると、3D足計測プリンターで計測をしてくれました。「アシックスウォーキングでは、専用の機械に両足を入れるだけで、短時間で3Dの足形を測定してもらえました。
計測結果
左右の足の大きさが違うこと(右23.3 左23.8)
右足の親ゆびが内側に入っており、外反母趾 16度の角度がついていることがわかりました
また、右足はアーチが下がっていることも客観的にみることができました
今回は計測体験で伺いましたが、インソールを入れたシューズも数多く販売しており、シューヒッターさんのアドバイスを受けながら、靴を選べることはいいと思いました。
今回は、糖尿病患者さんへ、足を守るためのポイントをまとめました。
1 足を見ること:観察
2 足を触ること:保湿ケア 水虫の治療
3 足を守ること:足に合った靴えらび インソール
今後は、危険な爪切り、タコのケア、巻き爪治療と巻き爪予防などについても伝えていきます
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