糖尿病看護認定看護師として、フットケアで組織以外で働くこと
看護師として病院で働いているとき、私は何度も思ったことがありました。
「この患者さん、退院したあと誰が足のケアをしてくれるんだろう?」
「病院では薬や治療はできても、日常の爪や足のケアまではできない…」
そんなもどかしさを感じていたのが、私がフットケアに関わるようになった始まりでした
糖尿病看護から見えた「足の大切さ」
糖尿病看護認定看護師として、長年患者さんに関わってきました。
糖尿病の方は足にトラブルを抱えることが多く、ちょっとした爪の食い込みや靴ずれが、大きな傷や感染につながってしまうこともあります。
患者さんとの出会い〜糖尿病から透析治療を始めた患者さん〜
フットケア外来で出会った、50代の男性の患者さんがいました。
30代で糖尿病性足壊疽を発症し、左足の指を切断。その後も営業職として革靴を履き続けていたため、靴擦れが絶えませんでした。
糖尿病の治療に前向きになれず、仕事を優先された結果、透析治療が始まりました。
足は変形し、外反母趾も強く、足底には大きなたこができていました。
「足は命を守る大切な場所」——そう学んできました。
でも、実際の現場では、足のケアが十分に行き届かないことも多いのです。

「先生、靴なんて何足も買い替えてきたけど、結局また靴擦れするんだよ」

足の形が変わっているから、既製品だとどうしても合いにくいんです。
靴に中敷きを工夫したり、足の角度を整えることで、少しでも痛みを減らしましょう」
人生論を語る気さくな人柄
外来の時間は、ただ足のケアをするだけではありませんでした。
ご家族のこと、人生観のことを、いつも気さくに話してくださったのを覚えています。
ケアを通して足を整えるとき、同時に「その人の人生を一緒に歩んでいる」ような気持ちになった時間でした。

この患者さんは・・・
透析中に急変され、残念ながら他界されました。
それでも最後まで足のケアを大切にされていた姿が強く印象に残っています。
「足を守ることは、その人の人生を支えること」
そう改めて実感させていただいた、大切な出会いでした。
「爪のケア」なら、私にできる
私はあるとき気づきました。
爪のケアなら、医師の指示がなくても、上司の許可がなくても、看護師の手で直接できるのではないか。
爪を整えることで、靴の中の痛みがなくなり、歩けるようになる。
「ケアで人の生活を支えられる」と感じたとき、私自身の働き方も変わりました。
私は勉強を始め、少しずつフットケアの技術を身につけていきました。
学んだ先にあったのは、「ありがとう、歩けるようになったよ」という笑顔でした。
最後に私が伝えたいこと
護師として働いている方へ。
職場の中でも、個人でも、自分の得意を生かして働く道はきっとあります。
フットケアはそのひとつ。患者さんの生活に寄り添いながら、自分の手で支えられるやりがいがあります。
そして、ご家族や患者さんへ。
「年だから仕方ない」と思っていた爪や足の悩みも、専門的なケアで改善できます。
足は、歩く力と生活の質を守る大切なパートナーです。ぜひ大事にしてほしいと思います。
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